STORIES #1

共有する時間の価値は
長さではなく、濃密さ。

I さま邸 / 西尾市

家族の時間を
何より大切にしたくて。

奥様の、家に対する譲れない思いは、そこにありました。美容院経営のご主人、ご自身もお勤めがあり(当時)、子どもたちは小学生。それぞれお休みが異なる中で、家族が集う時間をどのように濃密にしていこうか。その答えのひとつが、ひとり一人に目が届く広がりある空間の家。それは室内だけでなく、庭まですべて含めて、家族の居場所であることを意識した家でした。
ソファに座って、バスケットボールの試合のビデオに夢中になっている長男。お気に入りのラウンドラグの上で、男子たちの共有財産であるマンガ本を読む次男。大好きなパパと、リビングから廊下、キッチンまで走り回る小さな長女。ふと気付けば、男の子ふたりは庭に出てバスケットボールのミニゲームをはじめました。お兄ちゃんのマネが大好きな小さな女の子もウッドデッキに出て、お庭に出たいとパパにせがみます。奥様はゆったりと、子どもたちのおやつと紅茶を用意しながら、そんなひとりひとりの様子を見守っている。特別なことは何もないけれど、そこに家族が集って時間を共有していること。その一瞬一瞬が、かけがえのない宝物です。

毎朝、コーヒーを淹れるのは
僕なんです。

家族のために、ドリップしたコーヒーを用意するのは毎朝の大切な儀式。ただようコーヒーの香りの中で身体が目覚めていく。家族の朝がスタートする。その時間を楽しみます。でも、食に対するこだわりはないほうだと語るご主人。一方の奥様は、美容と健康オタクを自認する、自然派です。「この炊飯器、キッチンにとっても映えると思いませんか?」と見せてくださったのは、スタイリッシュさが目を引く酵素玄米炊飯器。「今ここに入っている玄米は、もう数日間ゆっくり発酵しているんですよ」と、小さなおむすびをふるまってくださいました。まろやかな香りと、もっちりした食感のやさしいお味。それはそのまま、母としての奥様の家族への思いです。

自然なものにこだわるのは、
子どもたちに、五感で感じて
覚えてほしいから。

添加物の入っていない食事やおやつ。触れることで記憶となっていく、たとえば漆喰の壁の質感。リビングテーブルに飾られた、毎日のお花。「今は、わたしたちの思いを理解できなくてもいいんです。毎日の、小さな経験や習慣の一つひとつが彼らを作っていくわけですし、財産になっていくと思うから」。いつか大人になる子どもたちのために、今できることを精いっぱい。そんな思いが伝わってきました。でも男の子たちは、もうママの気持ちがわかっているようです。お花屋を営むお祖母ちゃんの家に出掛けると、ママのためにお花を買ってきてくれるのだと、奥様は嬉しそうにほほ笑みました。

FEEL