三角形の敷地に建つ岡崎市の家
旗竿地かつ奥の土地が、高低差のある三角形の敷地。
一見すると難しい土地条件のように思えますが、それらすべてが個性となり、空間に深みをもたらす邸宅です。

この土地の魅力は、南側が大きく開けた見晴らしの良いロケーションにあります。

設計の初期段階から「この立地条件を活かすこと」が大きなテーマでした。
玄関を入ると、床の高低差によって空間にリズムが生まれ、視界の先にはキッチンダイニング、そしてその奥に広がるリビングが続きます。


「ただ仕切る」のではなく、「つながりながらも変化を持たせる」。
空間に奥行きを感じさせる工夫が、家全体に散りばめられています。
造作キッチンの存在感

この邸宅の主役のひとつが、造作のキッチンとカップボード。
前後で色を変えることを何度も打ち合わせを重ね、塗料を使用しながら、2色の色彩で構成されています。
キッチン前のスペースには、奥様が愛用するミシンの作業台を設置。

雰囲気のあるミシンと造作が、美しくつながるように仕上げました。
造作のカップボードの先にはパントリーを配置。

収納だけではなく、軽作業も可能なカウンター付きの設計となっており、家事動線としての使い勝手も細やかに考慮されています。
暮らしを包むカラーと質感

室内は、漆喰と赤みがかったブラウンの無垢の床を基調に、素材の質感が活かされた空間構成となっています。
2階のクローゼットには、大胆なパターンが印象的な塗装の壁紙をセレクト。

あえて寝室側からも見えるような貼り方とし、お気に入りの空間をもっと楽しむ工夫をしています。

一方で、トイレには小花柄のやわらかな壁紙を選択。

奥様の「ちょっと可愛いのをここだけに」という想いを、全体のカラーコンセプトを壊すことなく丁寧に反映しています。
ディテールに宿る意志
このお住まいの特徴は、デザインや機能性だけではありません。
天井に埋め込まれた物干しバー、枠を感じさせないドアまわりの納まり。


一見すると気付かれにくい部分にこそ、深い対話と時間が注がれています。
「ただ付ける」「ただ選ぶ」ではなく、「どのように暮らすか」を何度もお施主様と話し合いながら、それぞれの意図を形にしていきました。
造作や仕様を「カタチ」として再現するだけではなく「深く掘り下げること」から生まれる本当に心地よく過ごせる空間。
難しい土地だからこそ、提案する意味がある

今回の邸宅は、三角形で旗竿状、しかも敷地内に高低差があるという、一見すると設計が難しい土地に建てられました。
私たちは、このような土地こそ「一緒に考える価値」があると考えています。
こちらのお客様とは、土地探しからご一緒させていただきました。
ご希望の暮らしを実現するための土地選び・予算調整・配置計画などを総合的にご提案することで、「暮らしから逆算した住まいづくり」が可能になります。
たとえ三角形の土地でも、たとえ高低差があっても、それを生かす設計ができれば唯一無二の魅力に変わります。
それはまさに「設計力の真価」が問われる場面であり、私たちがもっとも力を発揮できるフィールドです。

