岡崎市藤川台の家
お住まいになられるご夫妻は20代後半の若いご夫婦。
木の質感を好まれ、造作を中心にした設えは、全体に潔く、そして大胆です。
開放的でプライベート。絶妙な抜けとこもりのあるリビング

南側に面したリビングは、大きな掃き出し窓を設けることなく、視線の抜けとプライバシーを巧みに両立。
南道路ではあるものの、向かいが法面になっている立地特性を活かし、人目を気にすることなく開放感を享受できるつくりに。
天井高は3mを確保。

床を下げ、構造的には平屋部分となるこの空間は、スチールの丸柱を使用しダイナミックながらも軽やかな印象です。
ソファベンチも造作で。
自由に寝転がったり、座ったり。ご夫婦らしいフレキシブルな過ごし方に応える、特注家具です。


背もたれの高さやクッションの厚みまで細かく設計いたしました。
まっすぐに貫いた、美しさへの決意

ダイニングとキッチンは、天板を一直線に揃えることを優先した設計。
キッチンの天板には、存在感のあるクォーツストーンを採用。

この高さに合わせるために、椅子の脚をカット。

「かっこよさ」を常に軸とされていたご夫妻。
この空間の芯にある想いを、私たちも真摯に受け止め、形にしています。
ランプは空間のボリュームに呼応するように、迫力あるサイズのものを1灯のみ。

ダイニングを照らす存在感は、空間全体を引き締める彫刻のようです。
水まわりへと続く、素材と色の美しい連続

キッチンから洗面へとつながる床には、ややラフな質感を持つ黒のタイルを。
少しだけ光沢のあるこのタイルが、空間に控えめな華やかさを添えています。
洗面も造作で設え、鏡は半円型のやわらかな木枠をデザイン。

エッジの効いた空間の中で、Rの開口部がさりげなく洗面へと導いています。
流行りではなく、空間のバランスをとるために、自然と必要だったR。
だからこそ、過不足のない心地よさがあります。
自分らしさで満ちた寝室とクローゼット

2階は寝室とクローゼットがひと続きに。
ヘリンボーンの床で統一された空間は、単なる収納ではなく、ご夫妻の「好き」に囲まれたプライベートゾーンとなっています。

香水やサングラスなどをディスプレイできる棚を設けたり、
ミラーを大胆に設置したり。


お気に入りに囲まれる豊かさが、日々の装いにも気持ちにも影響してくれるような、上質な時間が流れています。
収納は見た目だけでなく、使い勝手にも配慮し、持ち物の量や種類に合わせて可動棚やハンガーパイプを構成。
細かな打ち合わせを重ね、見た目と実用性のバランスを丁寧に探りました。
細部まで整えられた、美意識のある住まい

階段も、シンプルながら軽やかな片持ち構造。
素材、色、構造、そして寸法まで、すべてに意味とこだわりがあります。
どの空間も、ご夫妻の「かっこよくありたい」という想いと、私たちの「良いものを、誠実につくる」という姿勢が、融合した仕上がりとなりました。

外観は平屋にも見えるほどシンプルで控えめですが、中に一歩入れば、ご夫妻らしい世界観が広がることも魅力の一つです。

美容師という感性豊かなご職業ゆえか、美しさに対して明確な判断軸を持ちつつも、プロの提案にも柔軟に耳を傾けてくださったおふたり。
その信頼関係の中で築き上げられたこの邸宅には、若さや勢いではなく、静かな強さとしなやかさが宿っています。
