ARTICLE

記事一覧

最初にお会いした時から、おふたりの優しさがじんわりと伝わってくるような、そんなご夫妻でした。

家づくりに対して、素直な気持ちで向き合ってくださったように思います。

何度か見学会にも足を運ばれ、

「あ、これ素敵」

「こういうのもあるんですね」と、

毎回純粋な驚きと楽しみの声を聞かせてくださいました。

そういった積み重ねの中から、ご夫妻の好きが少しずつ輪郭を持ち始め、

私たちもその輪郭を一緒にかたちにしていくようなプロセスとなりました。

色と素材で「好き」を表現する

お話を重ねるごとに、色味や素材感に対する好みが見えてきました。

当初は明るめの木をご希望されていたキッチンも、

やりとりを重ねる中で「もう少し深みのある色の方が落ち着くかも」とイメージされ、

最終的には赤茶けた塗装を施した造作キッチンになられました。

天板には上質な質感の素材を用い、上部の窓からは広場の景色が広がるように設計しています。

ふとした瞬間に視線が外へ抜ける、その気持ち良さを日々感じていただけるのではないでしょうか。

インテリアは、感性を導く旅

ダイニング上のペンダントライトや造作のドア、壁紙など、インテリアの多くは、最初から決まっていたわけではありません。

お打ち合わせを進めながら、「私たちはこういうものが好きなんだ」と気づいていかれたご夫妻。

トイレのピンクの壁紙も、洗面室のモールディングのある鏡も、どれもが会話の中から生まれたご夫妻の感性の表現です。

とくにリビングへのドアは、塗装を施したオリジナルデザイン。

大きさや面取りのバランス、ガラスの配置まで一つ一つご提案し、

ご夫妻にとって「これが好き」と思える色、形を見つけていきました。

「好き」に囲まれて過ごす暮らし

2階には、おふたりの趣味の世界が広がる書斎スペースも設けました。

壁はほんのりグレーにし、落ち着きのある雰囲気に。

ご主人だけでなく奥様も漫画がお好きで、本棚にはお気に入りの作品がずらりと並びます。

リビングの白い丸みのあるソファは、可愛らしいシルエットながら、

アンティーク調のダイニングと絶妙なバランスで馴染んでいます。

冷蔵庫はパントリーに隠し、キッチン全体がリビングからはあまり見えない設計に。

まるでカフェのような空気感が、日常に心地よい余白を与えてくれます。

暮らしのテンションが上がる場所

パントリーの壁は、柔らかなイエローに。

奥様がキッチンに立つとき、自然と気持ちが明るくなるようにと選ばれた色です。

パントリーは単なる収納ではなく、日々の暮らしの中で小さな楽しみや

「ちょっと嬉しい」を感じられる空間として、大切につくっています。

TONE – トーン

ご夫妻の感性を、まっすぐに、まっすぐにかたちにしていった邸宅。

自分たちの「好き」がどこにあるのかを、探しながら、話しながら、ひとつずつ見つけていった時間。

その軌跡が、空間のあちこちに、静かに、けれど確かに残っています。

暮らしの中に、ふと気持ちが上がるような色や素材があること。

どこにいても、自分らしくいられること。そんな、穏やかで心地よい日々が、これからも続いていきますように。

Related Articles